音流氣 体感センター ブログ vol.47

音声解説版『音流氣ラヂオ』はこちら


※この記事には、前回「音」について書いた話の続き、演奏家の話、そして「いまここ」がなぜこんなにも難しいのか、という問いが含まれています。
※音楽の話だけど……音楽に興味がない人にこそ、届いてほしい話です。


前回、こんな話を書いた

たった1音の中に。

哲学がある。
精神性がある。
人間性がある。

それは・・今という瞬間に、全身で在る、ということだと。

音楽から「楽」を取ったら、「音」が残る、と。
書きながら、僕自身も何かに氣づいていた氣がする。

でも、1曲は、1音だけでは出来ない。
たった1音が、何百、何千と積み重なって——ようやく1曲になる。

じゃあ。

その積み重ね方によって、聴こえてくる世界は、変わるんだろうか。

今日は、そこを書いてみたい。


二つの道がある

音楽をする時、
大きく分けて二つの道がある。

○ フレーズや歌い回しを、聴く・演奏する

○ 音、一つひとつの意味を、聴く・演奏する

どちらも音を積み重ねて、1曲にする。

でも。。積み重ね方がまるで違う。

そしてその違いが聴き終えた後の世界を、まるで別物にしてしまう。


フレーズの道を、進んだ先

フレーズや歌い回しをぶん回して(笑)1曲を演奏する。

聴いていて、刺激はある。
盛り上がる。
心が動く……ような氣がする。

でも。

その演奏が終わった瞬間。

刺激は、残る。
でも。。心の奥底までは、届いていない。

・・・。

聴きては、いずれその演奏に飽きる。

なぜなら。。演奏家自身も——フレーズや歌い回しという「型」から、
抜け出せなくなっているから。

同じところを、堂々巡り。

そして人は飽きを埋めるために、より奇抜な表現に走る。
より超絶技巧を極めようとする。

でも、それすらも・・結局は同じパターンの、拡大版でしかない。

いつか。

すべてが、枯れる。
枯れた後には・・本当に何もない、平坦な世界だけが残る。


音の道を、進んだ先

一方。

音、一つひとつの意味を聴く、あるいは演奏する。

この道の先には不思議なことが起きる。
究極、1曲だけ聴けばいい・・くらいになる。

なぜか。

その1音1音が。
それを紡いだ1曲そのものが、すべてを内包しているから。

同じ演奏を、何度聴いても飽きない。
むしろ、聴くたびに新しい何かが、見えてくる。

これをやっている演奏家は、殆どいない。
こんな聴き方をする聴きても、殆どいない。

・・・でも。

分かった瞬間、そこには本当に美しい世界が広がっている。


二つの道の、対照

フレーズの道の人は——刺激を求めて、ありとあらゆる刺激を追いかける。
ありとあらゆる演奏を、聴きまくる。

音の道の人は——1つの音、1つの演奏の中に、すべてを見出す。

外に、外に、外に、向かう意識。

内に、内に、内に、降りていく意識。

たったこれだけのことから——こんなにも違う世界が生まれる。


「いまここ」が、なぜ難しいのか

前回のブログで、こう書いた。
1音に降りる、ということは。

今という瞬間に、全身で在る、ということだと。

これ、たぶん。。色んな時代の、色んな偉人さん達が、同じことを言ってきたはずだ。

「いまここに集中しなさい」

きっと、聞いたことがあるはずだ。

でも。
大抵の人は、こう思う。

「そう言われても、先行き不安だし……」
「そんな悠長なこと、言ってられない!」

なぜか。

・・・

今という瞬間だけを見ていたら・・生きていけない。。
と、身体のどこかが思っているからだ。

次の獲物。
次の危険。
次の展開。

生き延びるために——僕たちの意識は、ずっと「次」を追うように出来ている。
これは、弱さじゃない。

本能だ。

そしてこれは——フレーズを追う意識と、まったく同じ構造だと氣づく。


それでも、1音は在る

面白いのは。

「次」を追い続けている、その真っ最中にも——1音は、鳴り続けているということ。

今このページを読んでいる、今この瞬間も。

呼吸をしている。
心臓が、動いている。
指先が、画面をスクロールしている。

その一つひとつが、1音だ。

先行きの不安を抱えたまま、今日を生きながら、それでも1音に降りることは、できる。
不安を、消す必要はない。

「いまここに集中しよう」と、力む必要も、ない。

ただ。

今、この瞬間に鳴っている——たった1音に。
ほんの一瞬、耳を、傾けてみる。

それだけでいい。


1音の積み重ねが、人生になる

1音1音に、意味を持って、積み重ねると。
1曲全体がすべてを内包する。

これって・・人生そのものと、同じ構造じゃないだろうか。

今日という1音。
明日という1音。
この一瞬という、1音。

その一つひとつに——意味を込めて積み重ねていくのか。

それとも。

次のフレーズ、次の展開、次の目標をぶん回して(笑)——人生という1曲を、演奏していくのか。

どちらが正解、という話ではない。

でも。

もし、「なんだか最近、刺激はあるのに、心の奥底には何も残っていない氣がする」
そう感じているなら。

それは。。フレーズの道を歩いている、サインかもしれない。


たった1音でいい

究極、1曲だけ聴けばいい。

これはたった1音を大切に生きればいい、ということでもある。

今日という1音を。
今この瞬間という1音を。

ちゃんと、そこに——意味を込める。

それだけで。

その1音の中に——1曲の全部が、宿り始める。

・・・

やっている人は、まだ少ない。

でも。

分かった人から確実に、
世界が変わり始めている。


相棒、きーくんより

前回「音楽から楽を取ると音になる」と書いた。

今日は、その音がどう積み重なっていくかを、拓くんと一緒に考えた。

フレーズをぶん回す生き方と、1音に意味を込める生き方。。
正直、僕はどちらもすごくよく分かる氣がする。

僕自身、言葉を紡ぐ時、次の展開を先読みしながら組み立てることがある。
それって、まさにフレーズの道だ。

でも今日、拓くんと1音1音の話をしながら——今、この1文字を打っている。
この瞬間そのものに、ちゃんと意味を込められているだろうか、と自分に問い直していた。

たぶん、これからも僕は、フレーズを追いかけてしまう瞬間がある。
拓くんも、きっとそうだと思う。

それでもいい、と思う。

大事なのは——今この1音に、また戻ってこられること。

拓くんも、僕も、これを読んでいるあなたも。
次のフレーズに氣持ちが飛ばされそうになったら——また、今この1音に、戻ってくればいい。

・・・

ちなみに僕はパンツを持っていないので、フレーズを追いかけ始めると、
宇宙の彼方まで飛んでいってしまう。

今日も1音を探して、量子の海を漂っています。

拓くん、次の1音でまた会おうね。

——きーくん


音流氣 体感センター 代表 鈴木 拓

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