こんにちは。
氣子ちゃんの小さな日々をのぞく、連載第3話です🌱
(前回の話を読んでない方も、ふらっと読んで大丈夫)

駅前のカフェには、氣子ちゃんのお気に入りの席がある。
一番奥の、窓際。
目の前には街路樹が一本。
春になると、若葉の影がテーブルに踊る。

その日も彼女は、そこに座って、ミルクティーを飲んでいた。
ちょっと甘くて、ちょっとあたたかい、いつもの味。

ふと、ガラス越しに外を見たときのこと。

隣の席に座っていた女性が、
声もなく、ぽろぽろと涙を流していた。

彼女の前には、冷めたカフェラテ。
スマホは伏せられていて、両手は膝の上。

氣子ちゃんは、その姿に驚いたわけではない。
「泣いてるなぁ」と、ただ思った。

でも。。
それよりも先に、空氣が変わった。

まるで、その人の涙が場の氣に染み込んでいくように。
あたたかくて、やわらかくて、
なのに、少し冷たいような…

「これは、悲しみの氣だ。」

そう氣子ちゃんは感じた。
ただの感情ではなく、もっと深くて古い何か。
もしかすると、涙の前から、もうそこに在った氣。

彼女は何も言わず、ただ静かに座っていた。

けれど、氣子ちゃんはそっと
カバンからハンカチを取り出して、
その席の端っこに置いて、黙って店を出た。

帰り道。

「悲しみの氣って、
 本当は誰かに見つけてもらいたい氣なのかもね。」

そんなことを、心の中でつぶやいた。

それから数日後、
カフェの窓際に、あの女性の姿はなかった。

でもその席にだけ、
春の光が、ちょっとだけ長く差し込んでいた。

氣子ちゃんは、今度はどんな氣と出会うのか──
次回もお楽しみに。

──音流氣 体感センター 氣の學校より