こんにちは。
氣子ちゃんの小さな日々をのぞく、連載第10話最終回です🌱
(前回の話を読んでない方も、ふらっと読んで大丈夫)
その朝、氣子ちゃんはめずらしく目覚ましが鳴る前に目を覚ました。
外はしんと静まり返っていて、
カーテンの隙間から、淡い光が差し込んでいた。
「今日は、風が止まりそう。」
そう思った。
朝食をゆっくりと食べ、
お気に入りのノートとペンを持って、
氣子ちゃんは散歩に出かけた。
どこへ向かうかは、決めていなかった。
けれど、歩いているうちに、
気づけば小さな丘の上にたどり着いていた。
そこにはベンチがひとつだけあって、
遠くに街の景色が、まるで波のように広がっていた。
彼女は、静かに腰を下ろした。
そして、何も書かずに、ノートを膝の上に置いた。
風が、ふっと、止んだ。
その瞬間、音が消えた。
鳥の声も、車の音も、
すべてが消えて、
世界が「ひとつの呼吸」だけになった。
彼女は、目を閉じた。
何かを感じようとしたわけではなかった。
でも、そこには、
何かが、確かに、あった。
それは「無」ではなかった。
「空」でもなかった。
ただ、すべてが整って、
すべてが満ちていて、
何も足す必要がなかった。
その中に、言葉も、名前も、説明もなかった。
風が、また、そっと動きはじめた。
彼女は目を開けて、立ち上がった。
ノートは、最後まで真っ白だった。
でも、なぜかそれが、とてもよかった。
それが、氣子ちゃんの、ある静かな一日。
終わりではなく、始まりでもなく・・
ただ、風が止まっただけの日のこと。
(終)
──音流氣 体感センター 氣の學校運営チーム──
